研究課題/領域番号 |
02671053
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
五味田 裕 岡山大学, 医学部・附属病院, 助教授 (00088709)
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研究分担者 |
荒木 泰典 岡山大学, 医学部・附属病院, 教授 (60037439)
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キーワード | FootーShock / Stres / Nicorandil / Pharmacokinetics / Plasma level / Tissue / Excretion / Oral and parenteral administrations |
研究概要 |
臨床的に使用されている各種薬物の動態に及ぼすストレスの影響を調べる目的で、今年度は狭心症治療薬のnicorandilの動態に対する影響を小動物を用いて検討した。実験にはWistar系雄性ラットを用いた。ストレスの負荷については、動物の足に電気刺激(footーshock)を与える方法にて行った。Nicorandilを経口または非経口(皮下、静脈内)投与後、ある設定した時間にfootーshockを負荷させその時の血中、組織中および尿中の濃度をHPLC法で調べた。なお血中濃度の測定に際しては微量(60ul)の経時的採血により遠心分離後、nicorandilおよびその主代謝物の一つのNー(2ーhydroxyethyl)nicotinamideの血清中濃度を測定した。実験結果は次の通りである。1.Nicorandil10mg/kgを経口的に投与しその直後に、footーshockを負荷(30min)した時、そのnicorandilの血清中レベルは、非負荷の対照群に比べて著明に低かった。2.Nicorandil5mg/kgの皮下投与時では、footーshock負荷群の血清中レベルは、僅かであるが対照群のそれより低値を示した。3.さらにnicorandil3mg/kgを静脈内投与時でも、footーshock負荷群においてその血清中レベルは低下した。4.次に、nicorandil投与時血清中濃度がPeakに達した時、footーshockを負荷すると、経口および皮下投与時ともその血中濃度は対照群に比較して低下した。5.一方、nicorandil10mg/kgを静脈内に投与し、その直後よりfootーshockを負荷した時、nicorandilの血清中レベルの低下とともにその代謝物Nー(2ーhydroxyethyl)nicotinamideの上昇が認められた。6.nicorandil投与時のfootーshock負荷時の組織内レベルは、心臓、腎臓および皮膚で低値を示し、また尿中排泄は促進された。これらのことより、footーshockのようなストレスの負荷は狭心症治療薬nicorandilの吸収ばかりでなく分布、代謝および排泄に影響を及ぼすことが示唆された。
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