研究課題/領域番号 |
02671056
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
福永 浩司 熊本大学, 医学部, 講師 (90136721)
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研究分担者 |
山川 孝 熊本大学, 医学部, 助手 (10230327)
宮本 英七 熊本大学, 医学部, 教授 (50109659)
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キーワード | カルモデュリン / プロテインキナ-ゼ / 小脳顆粒細胞 / 海馬 / NMDA受容体 / Longーterm potentiation / 微小管付随蛋白質 / 蛋白質燐酸化反応 |
研究概要 |
Ca^<2+>カルモデュリン依存性プロテインキナ-ゼII(CaMキナ-ゼII)は神経細胞に高濃度存在し、神経伝達物質の生合成、放出を調節している。最近、海馬CA1領域のシナプス伝達長期増強(Longーterm potentiation、LTP)の発現に関与することが明らかとなった。従来の研究により、in vitroにおいて、Ca^<2+>/カルモデュリンにより活性化に伴い、酵素のN末端より286/287番目(α/βサブユニット)のスレオニンが自動燐酸化され、Ca^<2+>非依存型に変化することが知られている。私達は、小脳顆粒細胞の初代培養系を用いて、in vivoにおける本酵素の活性化機構について明らかにした。高K^+、Ca^<2+>イオノファア、NーメチルーDーアスパラギン酸(NMDA)受容体刺激による細胞内Ca^<2+>濃度上昇に伴い、CaMキナ-ゼIIのCa^<2+>非依存型活性が上昇した。このCa^<2+>非依存型活性の上昇は、酵素の286/287番目のスレオニンの原動燐酸化の程度と相関した。しかしながら、小脳顆粒細胞をグルタミン酸にて短時間刺激(30秒)した場合、Ca^<2+>非依存性活性の上昇は一過性であり5分以内には刺激前のレベルまで低下した。今回、我々は、NMDA受容体がLTPの発現に関与しているラット海馬の初代培養系を用いて、CaMキナ-ゼIIの活性化機構および微小管付随蛋白質(MAP2、タウ因子)の燐酸化反応について解析した。小脳顆粒細胞同様にNMDA受容体刺激に伴い、CaMキナ-ゼIIは活性化され、Ca^<2+>非依存型活性が上昇した。顆粒細胞に比べて、海馬神経細胞においては、NMDA受容体刺激に対する反応性が大きく、刺激後、その反応が持続する傾向にあった。微小管付随蛋白質に対する特異抗体を用いてin vivoにおける燐酸化反応を検討した。MAP2の燐酸化反応はNMDA受容体刺激に伴い上昇した。しかし、タウ因子の燐酸化反応については、本抗体では解析できなかった。さらに、タウ因子特異抗体を作製し検討中である。以上の結果は、CaMキナ-ゼIIが海馬におけるLTPの発現に関与するという知見を支持するとともに、その作用機構について重要な示唆を与えるものである。
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