研究概要 |
本年度は急性心筋硬塞の早期診断におけるCKーMHアイソフォ-ムの検討を中心に研究を行った。すなわち,CKーMサブユニットのうちC末端にリジレを有するものに対する抗体を用いる阻害法により、組織型と血清型との鑑別を行った。そして,健常人では血清型が優位であるCKーMMアイソフォ-ムが,心筋硬塞では極めて早期に組織型優位となり,入院時の検出感度は38.2%であり、これは総CKの32.3%,CKF113の29.4%より優れていた。ただし,このアイソフォ-ムが異常値となる期間は極めて短時間であり〓症後20時間でほとんどの症例は正常域に得するため,臨床応用にあたっては注意が必要である。 また,心筋硬塞でのミトコンドリアCK(MーCK)の出現は総CKの出現に遅れ,〓症後20〜30時間で出現する症例がほとんどであった。mーckは約80%の症例で出現しており,総CK,CKーMBの極値とは若干の相関はあるものの、軽症例での出現もあり、今後の症例状を増しての検討が必要と考えられた。 これら臨床検討に加え、ヒト脳細織からイオン交換,アフィニティクロマトグラフィによるMーCKの分離〓裂を行っている。従来の方法に改良を加えたこの方法により、mーckの分離能,保存安定性は格段に改善された。現在最終精製段階にはいっており、純度が95%以上となった時点で動物に免疫して抗体を産生するつもりでいる。次もCCは次次年度には二の抗体を用いたmーck測定法を確立し、よい広範囲での臨床検討を行うつもりである。
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