研究課題/領域番号 |
02671074
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
五味 邦英 昭和大学, 医学部, 教授 (60053980)
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研究分担者 |
石沢 修二 昭和大学, 医学部, 助手 (20142440)
鵜澤 龍一 昭和大学, 医学部, 講師 (80160232)
高木 康 昭和大学, 医学部, 助教授 (30138490)
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キーワード | ミトコンドリアCK / トロポニンーT / 急性心筋梗塞 / 悪性腫瘍 |
研究概要 |
平成4年度は本研究の最終年度として、プロジェクトのまとめと総括を行った。平成3年度に作成した抗ミトコンドリア家兎抗体の特異性を検索したところ、ミトコンドリアCKとその交差性は認めるもののCK-BBとも交差が認められ、この抗体を用いたミトコンドリアCKの定量法の開発は残念した。そして、ミトコンドリアCKの純化・精製ステップに改良を加えるべく、実験を繰り返している。 抗体による定量法は後回しにして、従来のミトコンドリアCKの検出法により血清内ミトコンドリアCKの臨床的意義を検索した。心筋梗塞では平成4年度に開始した心筋構成成分であるトロポニンーTとの関係を検討した。細胞質上清成分に存在する可溶性のトロポニンーTは分子量が小さく、梗塞発症後早期に血中に出現する。この分画とミトコンドリアCKの出現との間には直接な関係は認められかなかったが、発症後20数時間から出現する構成成分のトロポニンーTが高値の症例ではミトコンドリアCKの出現が高率に認められた。血中トロポニンーT値は梗塞の大きさを良く反映すると考えられており、ミトコンドリアCKも梗塞の大きさや進達度を推測する上で良好な指標となることが示唆された。 また、悪性腫瘍の検討では胃癌、大腸・直腸癌や肝細胞癌でミトコンドリアCKが検出された。特に肝細胞はCKをほとんど含有していないにもかかわらず転移性肝癌ではミトコンドリアCKが高率に観察された。この原因としては、原発巣でのミトコンドリアCKの増大と肝細胞でのミトコンドリアCKの代謝の低下が考えられ、酵素の回転とも関連して興味深い成績であった。
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