我々はマウスにrecombinant γインタ-フェロン(γIFN)を連日投与すると甲状腺濾胞細胞膜上にIa抗原(マウスのclass II抗原)が発現しさらに抗甲状腺抗体が血中に出現することを報告した(研究発表1参照)本実験モデルを用いて自己免疫機序による甲状腺疾患成立の過程をさらに探るベく、まずhostのIahaplotpoeの差がγIFNによる実験的甲状腺炎の強さにどのような影響を与えるかを調べた。サイログロブリン投与に対して高罹患率である Iakマウスと低罹患率のIabとIadマウスで比較すると同量のγIFN投与に対し抗甲状腺抗体価はIakマウスでより高値でまた甲状腺濾胞細胞上のIa抗原のexpressionもIakマウスで同様により強く Ia haplotypeの差はγINFに対する甲状腺濾胞細胞Ia抗原expressionの差を介して自己免疫反応の強さに影響している可能性も考えられた。これは、人における自己免疫性甲状腺疾患とHLA DR抗原の特定のhaplotypeとの関連に実験的な説明を与えるものである。 次にγINF投与を途中で中止した場合の変化を調べたところ 抗甲状腺抗体価は徐々に低下したが 濾胞細胞上Ia抗原expressionも低下し両者は並行していた。 さらに 他のサイトカインによるγINFとの協働作用を調べるためにIL1またはIL2をγINFと共に投与した。単独投与に比較してILー1併用投与では特に変化はなかったが ILー2併用投与では抗甲状腺抗体価濾胞細胞上Ia抗原expression共に増強し 本反応におけるTcellの影響を重要性を示した。 また、プロラクチンの免疫調性因子としての作用についても本実験モデルを用いて調べた。結果は現在解折中である。
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