高速液体クロマトグラフィー法によるアセト酢酸及び3ー水酸化酪酸濃度の測定系の確立をめざし、本年度が開始された。HPLC用カラムの工夫とderivatizationの導入により、標準物質を用いたアッセイ系の確立がなされた。また、コンピューターシステムとインジェクションシステム及びサンプルコレクションシステムを組み合わせることにより、脳脊髄液の自動化されたサンプル回収方法が確立されつつある。しかしながら、in vivoにおいて、コントロール動物(ラット)を用いた研究においては、人工的脳脊髄液の還流速度に依存して回収されるケトン体の含量が変動し、我々が希望する5-10分間に回収されうるケトン体量と、我々が確立したHPLCー測定システムにおけるアッセイ感度の間には、依然としてまだ大きな開きがあることより、更に、透析膜や還流面積などマイクロダイアライシス・プローベのシステムについて、ケトン体測定用に特殊な工夫が必要とされるものと考えられた。また、代謝状態が正常化したストレプトゾトシン糖尿病ラットの脳内カテコールアミン代謝と検討する目的より、各種濃度のインスリン投与による血糖正常化実験を試みた結果、ストレプトゾトシン60mg/kg投与したラットにおいては、NPHインスリンは、朝2単位、又1単位投与することが、最も代謝を正常化させることが判明し、今後、この状態の動物を用いて、更に持続的に検討してゆく計画である。
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