| 研究概要 |
我々は,副腎androgenの1つである19ーhydroxyandrostenedione(19ーOHーAD)には,アルドステロンのミネラルコルテコイド活性に対する増幅作用のあることを,副腎摘出ラットを用いたKagawaのバイオアツセイの検討成績から報告して来た。更に,19ーOHーADがアルドステロンの昇圧作用も増強するか否か検討したところ,19ーOHーADはアルドステロンの昇圧作用も著明に増強することが判明した。次の検討課題は,増幅機序の解明である。そこで,先ず,19ーOHーAD及びアルドステロン同時投与ラットの右房内ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)顕粒量を電子顕微鏡にて検討したところ,19ーOHーAD単独投与ラット,アルドステロン単独投与ラットでは,対照との間に有意差を認めなかったが,同時投与ラットでは,著明な減少を認めた。そこで,次に,各群の血中ANP濃度をRIAにて測定したところ,同時投与群及び19ーOHーAD投与群で低値が認められた。その結果は,19ーOHーADが,右房内でのANPの産生を抑制した結果,血中ANP値が低下し,その結果として,アルドステロンの作用を増強している可能性が考えられる。19ーOHーADの作用機序としてANPとの接点が判明したことが,本年度の大きな収穫である。更に増幅機序を詳細に検討するため,ANP遺伝子からのmRNA発現に対する19ーOHーADの影響を検討する予定で,目下準備中である。もし,19ーOHーADがANPmRNAの発現を抑制している所見が得られれば,この実験を用いて,19ーOHーAD拮抗物質のスクリ-ニングを施行する予定である。
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