研究概要 |
1.膵ラ氏島細胞グルコキナ-ゼmRNAの調節機序に関する実験:一匹のラット膵からコラゲナ-ゼ法により単離し得るラ氏島は約300〜400個であり,これらから抽出したtotal RNA量は10〜20μgであった。この量ではNorthern Blot解析でのシグナルが弱すぎて種々の実験での比較に適さないことがわかった。したがって,少量のtatal RNAからグルコキナ-ゼ(以下GK)mRNA量を定量するためにcompetitive PCR (Poly merase chain reaction)法を採用した。この方法により一匹のラット膵から得られる少量のラ氏島total RNAを用いてGKmRNA量が測定可能となった。(1)in vivoの実験:正常ラットを3日間絶食したもの,その後4日間摂食させたもので比較すると,再摂食によりGKmRNAが有意に増加した。0.05%Propyl thiouracil液2週間経口投与した甲状腺機能低下ラットおよび副腎摘除ラットにおいて同様の絶食・再摂食を行うとどちらの時期でも正常対照ラットに比しGKmRNA量が高値であった。(2)in vitroの実験:正常ラット膵ラ氏島を単離した後,RPMI1640(+FCS)メジウムで培養した。30分のpreincabation後に5.5mMあるいは16.7mMブドウ糖濃度でさらに24時間培養し,GKmRNA量を測定した。そのmRNA量を比較すると,5.5mMブドウ糖濃度に比し16.7mMブドウ糖濃度で培養したラ氏島細胞のGKmRNA量が有意に高かった。一方,1μM Dexamethazonあるいは10μM Triiodothyronineを投与すると5.5mM,16.7mMブドウ糖のいずれの濃度においてもGKmRNA量が有意に低下した。また,1μM Glucagonを投与してもGKmRNA量が低下したが,インスリンはGKmRNA量に何ら影響しなかった。 2.肝グルコキナ-ゼmRNAの調節機序に関する実験:現在,肝細胞の初代培養系をセットアップ中であり,今後,肝グルコキナ-ゼmRNAに関しても種々のホルモンの影響を検討する予定である。
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