平成二年度に於て我々はdiethylenetriamine penta acetic acid moietyをスペ-サ-を介して共有結合的にラットPTHー(1ー35)に導入し(DPTHと略す)、DPTHのligand probeとしてのeligibilityを検討した。DPTHはPTHRに対して高い親和性(Kd=5x10^<ー10>M)を有し、ヨ-ド標識PTHを用いたradioreceptor labellingにおいて80kDaのPTHRを特異的に認織した。DPTHは ^<111>Inにより容易に標識された。 ^<111>InDPTHの放射活性は46.000Ci/mmolであり、これは ^<125>Iー標識PTHの放射活性の約20倍に相当した。また、 ^<111>In標識はDPTHのPTHRに対する親和性に影響しなかった。加えて、 ^<111>InDPTHは ^<125>Iー標識PTHに比較して非特異的結合性に乏しく、また、 ^<125>Iー標識PTHより安定であることが明かとなった。以上の事実から ^<111>InDPTHはPTHRをコ-ドするcDNAの発現クロ-ニングにおけるligand probeとして有用であると考えられた。平成三年度においては、PTHRを多量に発現しているマウスATDC細胞などによりcDNA libraryを作成し、pCDNA1をベクタ-としてCOS細胞にtransfectionし、PTHRを発現する細胞 ^<111>InDPTHをligand probeとして用いることによりスクリ-ニングを開始した。まず、ATDC細胞のcDNA libraryを発現させ、positive signalを有すCOS細胞よりplasmid DNAを回収し、E.coliに導入してplasmid DNAを調整した。この方法を数回繰り返したのち、現在はPTHRをencodeするclone poolの検出を試みている段階である。単一なクロ-ンが得られ次第、塩基配列を決定し、PTHRのアミノ酸配列や構造諸特性を明らかにする。また、発現されるPTHRの物理化学的、および、生物学的特性や、発現の組織特異性を明らかにする予定である。
|