研究課題
一般研究(C)
本研究ではまず、肝型ホスホフルクトキナ-ゼ(PFKーL)のcーDNAプロ-ブをクロ-ニングした。このプロ-ブおよび筋型ホスホフルクトキナ-ゼ(PFKーM)cーDNAプロ-ブを用いて、培養b細胞ではPFKーMおよびPFKーLのmRNAが発現していることを明らかにした。各組織におけるホスホフルクトキナ-ゼの発現を検討すると、PFKーMの発現は筋、腎で最も多く認められた。PFKーLの発現は腎で最も多く、肝、網状赤血球では少なかった。また、PFKーM遺伝子の転写は組織特異的なスプライシングを受けていることを明らかにした。本研究ではさらにPFKーM遺伝子が30kb、24エキソンにわたる比較的大きな遺伝子であり、少なくとも2つのプロモ-タ-を有することを明らかにした。次にラットを用い、絶食/再摂食に伴う肝グルコキナ-ゼ、PFKーL、ピルビン酸キナ-ゼの発現の変動をmRNAレベルで検討した。肝はb細胞と同様にグルコキナ-ゼ、PFKーLを有している。ノザン分析の結果、肝グルコキナ-ゼmRNAは絶食により低下し、再摂食後急速に数十倍に増加することが明らかになった。ピルビン酸キナ-ゼも同様に絶食に伴い低下したが、再摂食後の増加はグルコキナ-ゼより遅れた。これに対し、PFKーLのmRNA含量の絶食/再摂食に伴う変動は小さかった。また、ストレプトゾトシン処理により糖尿病ラットを作成し、インスリン治療に伴う各律速酵素の発現の変動を同様に検討した。糖尿病の影響、インスリンの効果は絶食/再摂食の効果と類似していた。このように同じ解糖系律速酵素といえども酵素種によりその発現の調節機構は異なることが明瞭に示された。本研究の成果によりcDNAプロ-ブを用いて各種代謝状態における解糖系律速酵素発現の検討が可能となった。
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