研究概要 |
〔目的〕血中成長ホルモン結合蛋白(GHBP)が成長ホルモン(GH)受容体の一部であることから抗GH受容体抗体を用いる血中GHBPを測定する方法を開発し、低身長を含め種々の病態での血中GHBPについて検討した。 〔方法〕^<125>IーhGHと血清をインキュベ-ト(,^<125>IーhGHに結合したGHBPを抗GH受容体抗体で免疫沈降させた。 〔結果及び考察〕抗GH受容体抗体で免疫沈降された^<125>IーhGHとGHBPとの結合は温度,時間,濃度依存性であり,非標識hGHにより濃度依存性に抑制された。末端肥大症では^<125>IーhGHとGHBPとの結合は健常人に比べて低く,GH分泌不全症ではやや高値を示した。又,妊婦(後期)では高値を,低栄養状態では低値を示した。低身長者の検討ではタ-ナ-症候群12名の血中GHBPは健常小児と差を認めなかったが(88±9vs93±5%),GH分泌刺激試験に対してGHが10ng/ml以上の増加反応を示した“いわゆる正常低身長者(NSC)"23名では63±5%と低下したいた(P〈0.01)。この内,正常下限より低値の者は5例認められた。又,NSCでは血中GHBPと血中IGFーIとは正の相関(r=0.42)が認められた。これらの結果はNSCの中には血中GHBPの低値の者が存在し,これらの症例ではGH受容体の異常が低身長の一因である可能性を示唆していると考えられた。更に,血中GHが高値で,血中IGFーI,ーIIが低値でGH投与により血中IGFーIの増加のみられないGH抵抗性小人症1例では血中GHBPと^<125>IーhGHとの結合は2.6%と著明に低下し,GH受容体異常症と考えられた。
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