研究概要 |
[目的]血中成長ホルモン結合蛋白(GHBP)が成長ホルモン(GH)受容体の一部であることから抗GH受容体抗体を用いる血中GHBPを測定する方法を開発し,前年度に引き続き低身長を含め種々の病態でのGH受容体を検討するために血中GHBPを測定した。[方法] ^<125>IーhGHと血清をインキュベ-トし, ^<125>IーhGHに結合したGHBPを抗GH受容体抗体で免疫沈降させた。[結果及び考察]肝硬変症では血中GHBPは低値を示し,血中GHBPは主に肝臓由来であると考えられた。腎不全小児ではしばしば低身長が認められるが,これら症例の血中GHBPは健常小児と明らかな差は認められなかった。次に後縦靭帯骨化症(OPLL)の血中GHBPについて検討した。末端肥大症なでのGH過剰症にOPLLの発生頻度が高いことから,GHがOPLLの発症に関与することが示唆されている。しかし,その機構については不明のことが多い。そこで,OPLL症例の血中GHBPを測定し,OPLLでのGH受容体の異常について検討した。血中GHBPはOPLL群で105±33%(平均±標準偏差)であり,対照群76±29%に比べで有意に高値を示した(p<0.01)。GH受容体は軟骨細胞,骨芽細胞などの骨形成細胞に存在する。GHがこれらの細胞の増殖を直接に刺激し,骨量を増加させる作用をもつことはin vitro,in vivoで明らかにされている。OPLLでは局所のみならず全身の骨化亢進があることが指摘されているが,これがGH受容体の増加によるGHの生物活性の増加による可能性が考えられた。
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