研究概要 |
プラスミノゲン・アクチベータ・インヒビター2(PAI-2)産生前骨髄球性白血病細胞株PL-21のPAI-2mRNA発現に対するphorbol myristate acetate(PMA)およびcyclicAMPの影響をNorthern blot法にて検討した。 Protein KinaseC活性化作用を示しPL-21細胞でのPAI-2産生の増強作用を有するPMAあるいはoleoyl acetyl glycerol(OAG)と同時にcAMPを培養液に添加すると、cAMPはPMAあるいはOAGと相乗的に作用して、PL-21細胞でのPAI-2産生を増強した。以上の研究成果は、日本臨床(特集血小板機能)およびBiochimica et Biophysica Acta誌に掲載された(1992年)。昨年、ヒト胎盤cDNAライブラリーよりPAIー2cDNAのクローン化に成功し、本年度は、そのPAI-2 cDNAをプローブとしてNorthern blot法やnuclear run on法にてPAI-2mRNA発現の様式が検討された。その結果、PMAとcAMPの相乗的PAI-2産生増強作用が、主にPAI-2 geneの転写が増強された結果であることが判明した。この研究成果の一部は、平成4年11月の日本血栓止血学会で発表され、医学のあゆみ160(9),1992年、血液、腫瘍科25(4),1992年に掲載された。さらに、今年の4月日本血液学会総会シンポジウムにも取り上げられ、また、1993年7月ニューヨークで行われる国際血栓止血学会でも発表される予定である。この、PMAおよびcAMPによるPAI-2 mRNA発現時に、転写因子AP-1をコードするcーfosおよびjunーBの発癌遺伝子も誘導されることが判明し、AP-1転写因子がPAI-2 mRNA発現に関与していることを示唆する結果がえられた。さらに、これらの遺伝子発現と蛋白リン酸化反応の関連に関しても興味ある結果が得られつつある。
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