研究概要 |
エリスロポエチン(Epo)に反応して増殖あるいは分化するマウス細胞株を,用いて、Epoの作用秩序を探る一連の研究を展開してきた。当該年度はまずEpo刺激によって脱リン酸化される蛋白について解析を進めた。Epoに反応して分化するマウス細胞株ELMーIー1を高密度で培養した後、Epoを作用させ、一定時間後に細胞を破砕、超遠心分画の後可溶化する。これを二次元電気泳動で展開し、オ-トラジオグラフィ-で解析すると、膜分画に刺激後一分以内に脱リン酸化されるリン酸化蛋白質(pp98)がみとめられた。pp98の変化は15〜30分以内に回復し、この細胞増殖を促進するもう一つの因子ILー3の刺激ではみられなかった。またELMーIー1をヘモグロビン陽性細胞に分化させた後解析しても刺激前と変わりがなかった。従ってこの変化はEpoに特異的であり、その急激で一過性である性質から、Epoの刺激伝達に深く関っている可能性がある。リン酸化を受けていることがわかった。 また当該年度はEpoによる核内癌遺伝子の発現を検討した。ELMーIー1においても、Epoで増殖するDAーIERにおいても、cーfosの一過性の発現増強がみられた。cーmyc発現については著変はみられなかった。cーmyb発現はELMーIー1をEpoで刺激した時のみ減少し、赤芽球糸分化への関与が示唆された。 今後は、pp98のEpo受容体との関係を明らかにするとともに、当初の目標に向って研究を推進したい。
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