研究概要 |
研究計画にのっとり、培養骨髄巨核芽球細胞UT7を用いて実験を進めた。まず、UT7細胞1x10^8個をphorbol esterで分化誘導し、細胞よりtotalRNAさらにmRNAを精製した。えられたmRNAをもとに、cDNAを作成し、それをλ phage vecror,λgtllに組み込み、cDNA libraryとした。cDNA libraryを血小板膜蛋白GP IIbに対するモノクロナル抗体を用いて、immunoscreeningした。この結果、1.5kbのGP IIb cDNAクロ-ンを得た。えられたクロ-ンのDNA塩基配列を調べるたのち、GP IIbのC末端をcodeする800bpのDNA fragmentを精製し、probeとして用いた。PAIー1 cDNAは、1.3kbのcoding regionに相当するDNA fragmentをprobeとして用いた。5x10^6個UT7細胞をphorbo1 esterで分化誘導した後total RNAを精製し、PAIー1,GPIIb mRNAの変化をNorthern blotにより検討した。PAIー1 mRNAは、phorbol esterによる分化誘導の無い状態では、極めて微量にしか存在しないが、phorbol esterの分化誘導により、容量依存性に、また、経時的に増加した。一方、GP IIb mRNAは、phorbol esterによる分化誘導のない状態においても、恒常的に存在し、分化誘導後にも、増加しなかった。血小板膜蛋白GP IIb/IIIaに対するモノクロナル抗体のUT7に対する結合は、phorbol ester分化誘導により増加することから、GP IIIaの産生が増加するか、あるいは、血小板膜蛋白GP IIb/IIIaの構成が、phorbol ester分化誘導により行われると考えられる。血小板膜蛋白GP IIIaに対するphorbol esterの影響に関しては、現在検討中である。これらの結果は、J.Cell Biolに投稿予定である。
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