研究概要 |
1.実験はWTー3トカマク(R=65cm,a=20cm,B_t≦1.75T)にて行った。低域混合波(LHW)帯の高周波電力(2GHz,P_<rf>≦350kW)を2式の4導波管列ランチャ-でプラズマに入射した。両方のランチャ-での位相差を△φ=(π/2、ーπ/2)または△φ=(ーπ/2、π/2)に設定する事によりトロイダル磁場に沿って双方向に伝播するLHWを高安全係数(q_a〜20、I_o〜20kA)プラズマ中に励起し、双方向高速電子流を生成した。 2.多チャンネルサブミリ波干渉計によって測定した電子密度、トムソン散乱計測による電子温度、及びNaIシンチレ-タによる硬X線輻射の各空間分布においてプラズマ中心の大きなシャフラノフシフトがみられ(△r/a〜0.35)、双方向高速電子流による高βpプラズマが生成された事を示した。 3.プラズマの周囲に配置した多数(20個)の磁気短針からのデ-タをプラズマフィラメント電流法により磁気解析して得たシャフラ-ノフΛ(=βp+1_i/2)はΛ=3〜4に達した。電子密度と硬X線輻射の空間分布を使って得た電流分布より評価した内部インダクタンスは1_i=1.4〜2.0であり、βp=≧2〜3の高βpプラズマが得られたことになる。この値は逆方向に順方向高速電子流の約50%の高速電子流が生成された事を示している。 4.軟X線空間分布信号及び磁気短針信号に、時としてトロイダルモ-ド数n=1の間欠的な速いプラズマ大半径方向の動きが見られた。これはバル-ニング不安定性により引き起こされた可能性があり、詳細を検討中である。 5.このプラズマに高電カミリ波(56GHz,200kW)を入射して、バルク電子の電子サイクロトロン加熱(ECH)を行うとβpの顕著な増加がみられた。第2安定領域の高βpプラズマを得るのに、LHWによる双方向高速電子流生成にバルク電子のECHを加える事が有効であると思われる。
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