研究概要 |
研究代表者が開発した超高感度マルチセンサーを適用して体表面電位図の信号を採取した。生体信号の解析とシミュレーションを行うために電磁ニューラル・コンピュータを開発した。電磁ニューラル・コンピュータはノイマン型コンピュータに比較して高速処理が可能であり,並列演算を行うことができる。大規模にニューラル・コンピュータを実現するには,個々のニューロン間を結線するための有効な手法を開発する必要がある。本研究において,多くのニューロンを電磁的に結合する事が可能になった。コンピュータシミュレーションによって電磁ニューラルコンピュータの有効性を確認し,実際にその試作を作成した。電磁ニューラル・コンピュータは光結合のニューラル・コンピュータとは異なり,特殊な発光素子等を開発する必要がないので,大規模集積回路の製作技術との整合性がある。さらに,超並列演算を可能とするアルゴリズムを開発した。ニューラル・コンピュータの最も重要な要素は学習機能である。学習を高速にしかも確実に行うためのアルゴリズムを開発し,その有効性をシミュレーションによって確認した。このアルゴリズムを適用すると,ニューロン間の結合が二値化され,集積回路化する事が容易になり,多くのパターンを高速に処理することが可能になる。従って体表面電位図のパターン分類をこのアルゴリズムにより,高速に処理する事が可能になる。生体から発する信号に前処理を施して,さらにFFT演算を用いてスペクトルを求め,その情報をニューラル・コンピュータに入力して,パターン分類処理を高速に行う。学習を行い,その後に認識実験を行うと,従来のコンピュータで得られた結果よりも良好であり,しかも高速に生体信号を処理する事が可能になった。今後は処理速度の高速化と,処理結果が良好になるアルゴリズムを改良し,実用性の高い高速情報処理システムを開発し,これを生体信号処理系へ応用する。
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