1。各種物体について、その反射光と分光反射率のスペクトル解析に基づいて、カラ-反射モデルの提案と分類を行った。 物体の材料としては、プラスチックのような不均質物体のみならず金属のような均質物体も対象とした。まず標準の2色性反射モデルが具体的な物体に対して妥当かどうかを調べる方法を開発した。標準反射モデルは鏡面と拡散の2つの反射成分からなり、そのうち鏡面の反射率は波長に関して一定である。この試験法の原理は反射光のスペクトル分布が2つの成分で表現できること、および2つの物体から照明光のスペクトル分布が推定可能であることに基づいている。日常生活で普段見かけられる物体について、反射光のスペクトル計測を行ない、妥当性の試験を実施した。この実験結果で大多数の物体は標準反射モデルで記述できることがわかった。次に、繊維の布や紙の中には、標準モデルで記述が十分でないものが存在し、これらについては一般的な2色性反射モデルで近似できることがわかった。さらに銅板については鏡面反射のみであるが、やはり標準の2色性反射モデルで記述できることがわかった。以上をまとめると、現実に存在する物体はほとんど2色性反射モデルで記述できると結論できる。 2。標準の2色性反射モデルに基づいて物体表面を同定する手法を開発しつつある。 まず反射光から照明光のスペクトル分布の推定を行い、分光反射率の観測値を得る。次にこれらを物体ごとに分類を行い、最後に拡散反射成分のみの分光反射率を求める。現在この原理に基づいたアルゴリズムの開発及び実験を継続している。
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