1。多くの物体が標準の2色性反射モデルで記述できることがわかった。標準モデルで記述できない物体でも、拡張した2色性反射モデルで近似できることがわかった。 2。標準2色性反射モデルに基づいて物体表面を同定する方法を検討した。まず物体の表面分光反射率は鏡面反射成分と拡散反射成分の和として記述できるものとする。このうち鏡面成分は光源の分光電力分布を推定するために利用する。他方、拡散成分は表面を同定するための主要な指標として使用する。実際のシ-ンを計測するとき、空間的に異なった場所から観測される多くの表面分光反射率は、そのシ-ンの中で異なった表面の拡散成分に依存するはずである。 そこで各表面の拡散反射関数を2段階で復原することにした。まず、観測した反射率を、2色性反射モデルのアフィン変換の性質に基づいて、等価なクラスに分類する。我々は、観測反射率から拡散成分の寄与を保存し、照明の幾何学条件を取り除くためにスペクトルの正規化法を定義した。また有限次元線形モデルでスペクトルを表現することにした。これにより反射率の次元を大幅に減少させてから、反射率の分類を行うことができる。次に、分類した反射率から、各表面に固有の拡散反射関数を推定するアルゴリズムを開発した。 3。実験で具体的に検討した。天井の蛍光灯の照明下で室内の種々の物体からスペクトルを解析した。これらのスペクトルは輝線のスパイクを含むスペクトルである。すべての観測分光反射率は少数の基本関数で表現でき、かつ正しい表面に属するように分類できることがわっかった。さらに推定した各物体の拡散分光反射率関数の正確さを確認した。
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