中国語から日本語への翻訳システムの改良を行なった。研究成果の概要は以下の通りである。 1.ベタ書き中国文を自動的に単語単位に分かち書きするプログラムを作成した。我々の翻訳システムでは単語単位の分かち書き入力を採用しているので、これを一括翻訳の場合に翻訳の前処理用として使用する。2.中国語では動詞の補充成分として補語が多用されるが、この補語の分析と処理の方法について検討した(電気関係学会九州支部大会発表)。3.従来、意味属性をアルファベット1文字で表現していたものを、2文字で表現するように拡張した。これにより意味属性をより細かく設定できるようになり、訳語の選択処理、構文規則の適用条件設定の幅が広がった。しかし従来のシステムでは属性の与え方が体系化されていなかったので、IPALの辞書などを参考にして意味属性の与え方を再検討中である。4.技術文献として、人民日報の計算機に関する記事を中国人に翻訳してもらい対訳テキストを作成した。このテキストにより翻訳実験を行ない、単語辞書・構文辞書の拡充およびシステムの改良を行なった。5.技術文書では多くの専門用語が使われ、しかも複合語が多いので、技術文書の翻訳を行なうには専門用語の処理を考えておく必要がある。計算機関連分野に関する専門用語の取扱いについての予備調査を行なった(電気関係学会九州支部大会発表)。6.プロトタイプのシステムでは構文解析はバックトラックなしで行なっていたが、これを改良し単語の訳語の多義に関しては複数訳文が出せるようにした。7.自然言語理解システムIMAGESーIIの作成、これは英語談話を理解し、質問に応答することができるシステムである。このシステムにおいて実現されている自然言語処理は特定の言語に依存しないという特長を持っている。
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