研究概要 |
秋田県仙北郡に赴き現地で大型ウサギの飼育状況を調査したが、この地方では古くからウサギを食用としており、毎年およそ5,000頭のウサギが生産されている。明治の終わり頃より大型種への改良が行われてきたため、12ヶ月令で平均体重が6.5Kg,体長が67.7cmとなり、国内の他の地方のにいる日本白色種(平均体重3.5Kgおよび体長50cm以内)に比べ大きい。このなかには8Kgを越えるとくに大型のウサギも300頭ほど存在している。これらの大型ウサギ雄雌各15頭を入手し、部分採血により血液性状および血清の生化学的性状を調べた。赤血球数、白血球数、ヘマトクリット値および総蛋白値は、一般の日本白色種と比べ特に差異はなかった。解剖して各臓器の重量を調べたが、心臓、肺臓、肝臓、脾臓および腎臓は12ヶ月令の他の日本白色種の3〜4倍であった。疾病の有無を調べるために臓器を採取し病理学的検査を行っおり、また平成3年度には採取した血清を用いてウサギの主要病原体に対する抗体の保有状況を調査する。 この大型ウサギを循環器系の実験に使用し、心機能、総頚動脈、総腸骨動脈および大動脈の瀬状を調べているが、心機能が優れており、脈管が太く(一般の日本白色種の1.5倍)強靭であることが判明した。 飼料に関しては、施設へ搬入後、実験動物用固型飼料(般橋農場製RMー4)に訓化するまでに2〜3ヶ月を要したが、生産地において離乳時より固型飼料を給餌することにより、搬入直後より固型飼料の摂餌が可能となり、体重の減少もみられなくなった。ケ-ジ寸法は、75*75*75cmのビ-グル犬用ケ-ジが適当であると思われる。 以上の結果より、この大型ウサギは循環器系の実験において小型犬に代わる代替動物となりうることが予測される。
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