研究概要 |
マウスの尾端切断によりDNA抽出後、PCR法にてプリオン遺伝子領域を増幅、dot hybridizationと制限酵素切断長にてPrnーPa,PrnーPbを検出し,PrnーPb遺伝子型のマウスをNZWマウス(PrnーPa)に戻し交配することによりコンジェニックマウスの作成を行ってきた。ところが、戻し交配6代(N6)まできたところで繁殖が困難になってきた。それと同時にdot hybridizationが必ずしもうまく行かないことが判明した。そこで本年度はN4世代まで逆戻りして繁殖をやり直すこと、制限酵素の切断長による方法のみで遺伝子診断ができるようにプライマ-を新たに作り直すことを行った。すなわち、プリオン蛋白遺伝子のコドン108の置換の有無を制限酵素Mnl1,コドン189をBst E〓でそれぞれ切断しその切断長を電気泳動により判定できるような位置のプライマ-を2組作成した。その結果、これらの2組のプライマ-を用いたPCR法では増幅されるプリオン遺伝子の量も多くなるとともに、制限酵素Mnl1,Bst E〓による切れもよく、電気泳動により2カ所の塩基配列の置換が明確に検出できるようになった。この方法だと放射性同位元素を使う必要もなく、安全かつ簡単にDNA診断が出来るようになった。繁殖障害については、N4世代まで戻って再び戻し交配をやり直すこととNZWマウスの種親を更新することによっ て何とか克服することが出来た。現在、N5世代のもどし交配を行っている。N4以前のマウスについては各世代のホモ型,ヘテロ型についてCJD潜伏期間の比較実験を継続中である。
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