研究概要 |
チャの生葉15kgを熱水抽出し、可溶性画分1.2kgを得た。これをブタノ-ル抽出し、除タンパク,除カテキンを行い,最終的にブタノ-ル抽出部22.3gを粗配糖体画分とした。 配糖体画分の一部を水溶液とし、チャ生葉より調製したアセトンパウダ-および市販のβーグルコシダ-ゼと処理後,遊離する揮発性成分をエ-テルで抽出し、ガスクロマトグラフィ-で検索した結果(Z)ー3ーヘキセノ-ル,ベンジルアルコ-ル他数種のモノテルベンアルコ-ルを同定した。この結果、茶香気中の主要成分が配糖体として存在していることが明きらかとなった。 粗配糖体画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィ-で精製を試みたが、個々の配糖体を単離することは困難であったため、一度ピリジン一無水酢酸によりアセチル化し、再びカラムクロマトにより分画した。薄層クロマトグラフィ-により、単一スポットを示したBAー7画分より結晶が析出したのでこれを再結晶し、mp98℃の純品を得た。IR,HMR,CMR,MSなどの各スペクトルによりbenzylー(tetraーOーacetyl)ーβーDーglucopyranosideの構造を推定した。同一物質を合成し、標品との比較からこの推定を確かめた。 混合物である他のacetylglycosideは、そのままCMRを測定し、アグリコン部の構造を推定し、(Z)ー3ーヘキセノ-ル,リナロ-ル,ゲラニオ-ル,フエニルエタノ-ルの存在が推定された。 今後CMRを主体とするスペクトルおよび推定配糖体を合成することにより、各配糖体の構造を確認し、これらを先駆体とする茶香気成分の生成機構を明らかにする。
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