平成6年度からの高等学校家庭科の男女共学全面実施に向けて、特に家庭・保育に関する教育内容や指導方法のあり方の再検討が迫られている。本研究では、家族・保育に関する育内容のあり方を検討するために、今年度はアメリカ合衆国で出版されている家庭科教科書および日本のいくつかの研究団体の提案している教育内容案の検討を行った。また、東京都および神奈川県下の高校生男女1359名を対象に意識調査を実施し、家族・保育に関する生徒の関心、学習要求の現状を把握した。その結果以下のようなことが明らかとなった。 1)アメリカの家庭科教科書の多くは、最初に自分の個性や特性、男女関係、将来の職業など青年期の生徒にとって興味と関心を持ち易い内容がおかれており、自分自身についての学習から家族・保育へ発展している。 2)日本の高校生男女は、家庭科での家族の人間関係について学習することについて「とても興味がある」と答えた人は9.4%程で、47%が「興味がない」と答えている。とても興味があるという人は比率は、食生活36.5%衣生活21.1、住生活20.7、家庭経営11.6への学習興味よりも低い。しかし、「自分自身の人生に関すること」の学習については47.2%の人が強い興味を示している。特に、高校生は現在「自分の個性、性格」「趣味・遊び」「将来の職業」「アルバイト」などに男女とも強い関心をもっており、今後の家庭科での自分自身の現在の生活に関する学習の必要性が示された。 3)幼い子供と遊んだりした経験は男女とも少なく、乳幼児期や子供の発達についての関心は低い。 4)家庭科の学習方法として、高校生は普段受けている授業方法とは異なる希望を持っており、コンピュ-タを使う授業、食べ物を作る授業、週刊誌やマンガを使う授業などを望んでいる。
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