第1年次の高校生の家庭科に対する意識調査により、現在の高校生は自分の性格や自分の進路や比較的近い将来について強い関心をもっていることが明らかとなった。また、自分自身の問題として考え、意思決定したりすることができるような学習内容にたいして高い関心を示した。今年度は、こうした高校生の関心にあった新しい内容を盛り込み、さまざまな学習方法をとりいれた家族・保育の指導案を作成し、実践の可能性とその効果を検討することをねらいとした。 まず第1に、第1年度に作成した自分自身の人生について考えるカリキュラムから、人生のステ-ジごとに4つの題材を設定し、指導方法を工夫した具体的な指導案(1題材4〜6時間分)を作成した。これを現場の家庭科教師との研究協議により、修正を行いながら、[異性とのつきあい][自立していきる]の2題材について細案を作成した。 第2に、作成した指導案について、研究協力者に実際に指導案にそった授業を実施してもらった。生徒には、授業の実施前と後に調査を実施し、授業が生徒自身の人生を考える上で参考になったかどうか、題材の内容について認識が高められたかどうか、などを調査した。 その結果、作成された指導案にもとずいた授業を受けた生徒は、今の自分の考えるうえで、また自分の生き方や進路を考えるうえで、「参考になった」とする人が半数以上を占めた。また、異性についての授業によって、「人間の成長・発達と人々とのかかわり」について理解することができたと答えた生徒は60%を越えていた。授業の方法として、税生徒の討論により、他の人の意見を聞くことが出来て良かったとする人が特に多く見られた。高校生自身の問題や自分の人生を考えることの出来る内容を指導方法を工夫した授業は、生徒の学習要求を満たし、全体としては良い効果があったことが確認できた。
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