前年度に引き続き、ポリオキシエチレンアルキルエ-テル(AE)の粘土への吸着特性につき検討した。共栓三角フラスコに、所定濃度のAE水溶液100mlと0.2gの粘土を入れ、インキュベ-タ-中で25℃では48時間接触させて平衡吸着させた。遠心分離後、上澄み液の活性剤をTOC測定及びHPLCにより定量し、吸着量を求めた。25℃におけるC_<12>EO_8のセリサイトへの吸着等温線は、低濃度でLangmuir型の吸着を示し、CMC付近までは濃度の増加にしたがい数段の吸着量の増加がみられ、明らかに多分子層吸着が起こっていることが推定できた。C_<12>EOの混合系の吸着等温線は複雑であり、この結果の解析については次年度に継続して行う。 次に、AE単独、およびAEを配合した市販液体洗剤の生分解挙動を調べるためにリバ-・ダイアウェイ・テストを行った。市販洗剤としては毛・絹用、木綿用液体洗剤をそれぞれ3種選び、多摩川の河川水1lに活性剤が20mlになるように加え、20℃のインキュ-ベ-タ-中に静置した。一定時間毎に試料の一部を採取し、FRAS、TOCおよびHPLCによる測定をした。TOCにより全消失過程を調べた結果では、AEのみを含む洗剤2種は類似した分解挙動をとるが、対照として用いたC_<12>EO_7とは異なり、数回の誘導期を示した。これは洗剤に配合されているAEは単品ではなく、アルキル鎖長やEO付加モル数に分布があリ、2種の洗剤でこの分布が異なるためである。他の4種の洗剤のAEにも同様のことが考えられるが、LASやAESが含まれているため、生分解挙動は複雑となる。
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