研究概要 |
非イオン界面活性剤の土壌中での消失現象を明らかにするため、これまでにnonylphenol ethoxylates(NPE)の土壌及び土壌主要成分である粘土への吸着性、土壌カラムによる土壌中での生分解性を検討してきている。本研究では、粘土鉱物(カオリン、セリサイト)へのalkyl ethoxylates(AE)の吸着特性および環境中での生分解挙動についての検討を行った。 粘土に対するAE(C_<12>EO_5,C_<12>EO_8)の吸着等温線は、低濃度で第1段目の吸着、ついで数段階の吸着を示し、cmcでほぼ一定値に到達する。1段目の吸着にはLangumuir式が適合し、単分子吸着層の飽和吸着量はC_<12>EO_5では1.4μmol/m^2、C_<12>EO_8では1.1μmol/m^2で、両粘土に対してほぼ等しい値が得られた。また、2段目からの吸着量の増分は、1段目の単分子吸着の飽和吸着量とほぼ等しく、多分子層吸着が示唆された。単分子層吸着には温度の影響は殆ど見られなかったが、多分子層吸着は温度、EO付加モル数の影響をうける。 AE又はNPEとSDSとの混合系からの吸着挙動を調べたところ、AE、NPEの粘土への吸着挙動は単独系の場合とほぼ同じであるが、陰イオン界面活性剤のSDSは非イオン界面活性剤が単分子層の吸着をした後に吸着が起こり、単独系よりも著しく吸着量が増加した。 AEの生分解挙動はriver dieーaway testにより検討した。AE単独系ではアルキル鎖炭素数は10〜16、EO付加モル数は5〜8の範囲のものについて調べた結果、炭素数あるいはEO付加モル数の増加にしたがい、生分解性が減少する傾向を示した。さらに、AEを配合する市販液体洗剤の生分解挙動を検討したところ、洗剤に配合されているAEは単品ではないため、生分解にはAEのアルキル鎖炭素数、EO付加モル数、濃度などの違いが明らかに関係していた。
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