研究概要 |
最近、水質汚濁が再び進み出した原因のひとつに、生活排水特に調理排水があり、水質汚濁法において生活排水処理が國民の責務とされた。しかし、多様な調理食品の廃棄物による水質汚濁への影響の評価法が確立していないので、筆者らは使用頻度の高い食品ならびに調理食品の合計132品目について、生物化学的酸素要求量(BOD),四塩化炭素抽出物量,強熱減量,水分量を測定した。これに基づき、廃棄される食品が水質汚濁におよぼすBOD負荷量を推定するためのBOD原単位表を作成した。また、調理食品のBOD値におよぼす食品成分の影響を、強熱減量を指標とする有機物量、四塩化炭素抽出物量で示される油分、水分量について相関性を検討した結果、各成分間に高い相関性が認められた。重回帰分析の結果、次の回帰式を得た。 1ny=0.63 1nx_1+0.087 1nx_2+0.00006x^2_3+2.15 (y=BOD値, x_1=強熱減量, x_2=四塩化炭素抽出物量, x_3=水分) 更に、強熱減量の寄与を求めると、次のようになる。 1ny=0.913 1nx_1+0.448 従って、BOD値が明らかでない食品については、強熱減量から推定できる可能性を示した。 以上の結果は第5回韓日家政学シンポジウム(於.韓國ソウル市,1990年8月)において口頭発表した。また、日本家政学会誌41巻、833頁〜840頁,(1990年)に、「調理食品廃棄物のBOD原単位」として発表した。 平成3年度以降、調理廃棄物実態調査を行い、BOD原単位表から汚濁負荷量や食品に対する廃棄物のBOD率を算出などして、水質保全のために各家庭レベルでの有効かつ実践的な生活排水対策を追求したい。
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