研究概要 |
本年度は、乳糖ーリジンのAーC反応生成物に特異的なモノクロ-ン抗体(L1,2)を用いて、乳児用調製乳、市販乳におけるAーC反応タンパク質の検出を試み、次のような成果を得た。 1)乳児用調製粉乳8種類を購入し、AーC反応タンパク質の検出を試みた。調製乳には乳糖以外に各種の糖が添加され、糖含量を50ー60%に調製されていた。また、これらの内の1標品は乳糖を除いたものであった。各標品中のタンパク質とL1,2との反応性をELISA法で比較したところ、乳糖を含まない標品では乳糖とのAーC反応タンパク質の生成が全く認められなかった。その他の調製乳ではほとんど同程度の反性が生じ、添加糖(Starch,Lacturose,dextrin etc.)によって、また、製造からの貯蔵期間によっても反応性に顕著な差は認められなかった。次に、調製乳中のタンパク質をSDSーPAGEで分離し、ProteinーBlottingによりニトロセルロ-スシ-トに転写し、L1,2およびperoxidase標識抗マウスIgGを用いた免疫染色により、乳糖と反応した各種乳タンパク質を検出した。乳タンパク質のうちで、乳糖との反応性の高かったタンパク質は、Lactoferrin,BSA,casein及びβーlactoglobulinであり、αーlactoalbuminの反応性は低かった。乳糖ーβーLgの種々の反応段階のAーC反応生成物を基準にして、乳糖ーリジンのAーC反応生成物を推定した。 2)低温殺菌乳、高温殺菌乳、超高温殺菌乳(36,85,130,140℃)を購入し、L1,2を用いたELISAによりAーC反応タンパク質を比較した。低温殺菌乳では乳糖と反応したタンパク質は検出されず、超高温殺菌乳のELISA値が最も高かった。また、Proteinーblottingによると、市販乳中でも乳糖と反応してたタンパク質はcasein,βーlactogloburinであり、αーlactoalbuminの乳糖との反応性は極めて低かった。(一部、平成3年度日本栄養食糧学会で発表)
|