研究概要 |
本年度は、乳糖ーリジンのアミノ-カルボニル(A-C)反応生成物に特異的なモノクローン抗体(L1,2)を用いて、スキムミルク、各種殺菌温度の市販乳および乳製品におけるA-C反応タンパク質の検出の試み、更に加熱によるA-C反応タンパク質の変化を調べ、次のような成果を得た。 1. スキムミルク6種類を購入し、A-C反応タンパク質の検出を試みた。各標品中のタンパク質とL1,2との反応性をELISA法で比較したところ、全てのスキムミルクからA-C反応タンパク質を検出した。6種類の標品のうち鉄分を強化したもののELISA値は顕著に高かった。スキムミルク中のタンパク質をSDS-PAGEで分離し、Protein-Blottingによりニトロセルロースシートに転写し、L1,2およびperoxidase標識抗マウスIgGを用いた免疫染色により、乳糖と反応した各種乳タンパク質を検出した。乳糖との反応性の高かったタンパク質は、casein、α-lactalbuminおよびβ-lactoglobulinであった。 2. 低温殺菌乳、高温殺菌乳、超高温殺菌乳(63,85,130,140℃)の市販殺菌乳および鉄分添加乳飲料2種類の計19種類を購入し、L1,2を用いたELISA法によりA-C反応タンパク質を比較した。低温殺菌乳では乳糖と反応したタンパク質はほとんど検出されず、超高温殺菌乳および鉄分添加乳飲料のELISA値が高かった。また、Protein-blottingによると、市販乳中でも乳糖と反応してたタンパク質はほとんどcaseinであった。 3. 乳酸飲料、練乳等乳加工品11種類を購入して上記同様の実験を試みた。乳酸飲料のA-C反応タンパク質は、標品によって異なった。練乳のうち加糖練乳のELISA値は低く、無糖練乳の値は極めて高かった。ELISA値の高い標品の乳タンパク質は重合化したものが多量に検出した。 4. 市販乳を沸騰水中で長時間(60 min)加熱すると、顕著にA-C反応生成量は増加した。
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