研究概要 |
1.名古屋市内及び周辺都市の保育園児1,514人を対象として、食餌性アレルギーの有無、原因食品、母親の食生活等を調査した。食餌性アレルギー児の割合は152人(10.0%)、発症時期は0歳(40.6%)が、また女子より男子に多く、原因食品の第1位は卵類(56.7%)、次いで乳製品(38.8%)であった。アレルギーの有無と離乳食、離乳の時期、授乳方法等に顕著な差は認められなかった。子供が食餌性アレルギーである場合には家族にアレルギー体質が顕著に高く(50%)、母親の妊娠中の食の好みも強かった。 2.各種乳製品からモノクローン抗体を用いたA-C反応タンパク質の検出乳糖-タンパク質のA-C反応物に対し特異的なモノクローン抗体を用い、市販の乳児用調製乳、脱脂粉乳、殺菌乳及び乳飲料からA-C反応タンパク質の検出をELISA法、protein-blotting法を用いて試み、以下の成果を得た。 1)乳児用調製粉乳8種類の内7標品から、乳糖とのA-C反応タンパク質の生成が認められた。1標品は乳糖を含まないものであった。製造からの貯蔵期間によっても反応性に顕著な差は認められなかった。 2)脱脂粉乳6種類のうち鉄分を強化したもののELISA値は顕著に高く、反応性の高かったタンパク質は、casein、a-lactalbuminおよびβ-lactoglobulinであった。 3)低温殺菌乳、高温殺菌乳、超高温殺菌乳および鉄分添加乳飲科、計19種類のうち、低温殺菌乳ではA-C反応タンパク質はほとんど検出されず、超高温殺菌乳および鉄分添加乳飲料のELISA値が高かった。乳糖と反応したタンパク質は主にcaseinであった。市販乳を長時間(60min)加熱すると、顕著にA-C反応生成物量は増加した。 4)乳酸飲料、練乳等乳加工品11種類のA-C反応タンパク質は、標品によって異なった。無糖練乳に比べ、加糖練乳のELISA値は著しく低かった。
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