本年度の研究上の成果は、ガリレオの『全集』に載せられなかった手稿の分析が進展したことで、その主な内容は次のとおりである。 (1)振子の法則の発見と落下の法則 最近S.ドレイクによって主張されている落下の法則を振子の法則との関係でガリレオが発見しえたという点について、本年度もさらに詳細な検討がなされ、ガリレオの手稿の検討から、振子の法則を発見したとみられるデ-タの存在を示した。その結果、ドレイクの主張ではあいまいにしか表現されていなかった発見過程の具体的なスジ道についても、一定の方向づけが示された。 (2)振子の周期について 上のこととの関連で、ガリレオの手稿の中で、振子の周期の値を正しく言い当てているものが存在することが発見された。そこでのガリレオの論拠づけは必ずしも正当なものではないが、実験で具体的に得られた値からの推定として想定されたものと思われる。 (3)手稿の順序づけ これについては、前年度の成果にもとづき、ガリレオの力学系には二つの基本原理が必要であることを再度確認するとともに、初期の手稿の分析を通じ、その二つの基本原理の獲得過程を跡づけた。この分析は、従来のドレイクによるものに対する批判を含んでいる。
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