運動中における急死の発生機序を検討するための基礎的資料を得ることを目的として、マラソンレ-スに参加した高齢者(7名)を対象に、レ-ス前後に採血を行い、血液生化学検査所見を検討した。 その結果、以下のような若干の知見が得られたので報告する。 1.被験者の平均年齢は、68.2±9.4歳(平均値±標準偏差)であり、最高年齢は80歳、最低年齢は57歳であった。 2.被験者らの主な運動目的は、健康の維持、体力増強、肥満解消などであった。トレ-ニングは、ジュギングが中心に行われていた。他にも、全身的な筋力トレ-ニング、柔軟運動、ボ-ル運動、バドミントンなどがトレ-ニング・プログラムの含まれていた。また、必要に応じてトレ-ニング内容に関するアドバイスを行った。 1週間あたりの平均運動回数は4.9回、1回あたりの平均運動時間は、2.8時間であった。 3.被験者の体力レベルは、個々にバラツキがみられた。体力測定結果の各平均値を日本人の体力標準値と比較した結果、柔軟性を除く全ての項目が優れていた。 4.マラソンは、平成3年11月24日(日曜日)、筑波大学周辺の日本陸連公認コ-スで実施された。スタ-ト時の天候は晴れ、気温は7.5度であった。被験者全員が10kmコ-スに参加し、平均タイム45分39秒で全員が完走した。 5.血液生化学検査は、スタ-ト30分前及びゴ-ル数分後に採血した血液を分析した。その結果、血清脂質および血清酵素の各項目において運動前後の値に変化が認められた。現在、変化の認められた血液生化学検査結果について運動の影響を検討している。
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