研究概要 |
1.高齢心疾患患者運動療法の処方基準作成を目的として三群(A群:虚血性心疾患患者運動療法実施、B群:健常者・運動習慣有、C群:健常者・運動習慣無)58名を対象に心機能、生活習慣の点から比較検討を行った。第一回の結果を報告する。 2.調査項目は、(1)運動負荷テスト(Treadmill Test)、(2)日常生活に関するアンケ-ト、(3)週間行動調査、(4)万歩計、(5)心拍数調査、(6)心理テストの六項目である。なお(3)、(4)の実施率は58%であった。 3.結果及び考察1)心機能に関して:運動負荷テストの成績から、運動耐容時間ではA群がもっとも長く(平均7分25秒)次いでB群、C群の順であった。二重積(RPP)はB群が27×10^3次いでC群、A群であった。B群、C群とも安静時、End Pointでの血圧が高値を示し、血圧コントロ-ルができていず、末梢循環機能の低下が伺われた。End Pointでの中止条件はB,C群で脚疲労、またC群では呼吸困難による例が顕著であった。A群が週2〜3回の運動療法を継続しているのに対し、B,C群では明らかに運動不足によると考えられる機能低下を認めた。2)生活習慣について:Quality of Lifeの観点からみると三群とも「健康の維持」を第一位にあげ、次いで「夫婦・家庭生活」としている。また、一週間の行動調査では外出時間ではA群、趣味の時間ではB群、また万歩計の歩数ではA群がそれぞれ第一位であった。高齢者の充実した、健康的な生活を考えるうえでより解放的、外向的な意識が大切と考えられるが、C群においてやや非活動的な傾向が伺われた。 4.まとめ A群の虚血性心疾患患者は重大な障害を有するにもかかわらず、心機能は優れ日常生活においても充実している。反面、一般の高齢者では健康生活の重要性を認識しながら十分な対応がされていないといえる。
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