研究概要 |
125%LT強度の持久的運動トレ-ニングが、有酸素的作業能の向上及びEIBの改善に効果的であるかどうかを検討した。対象は、国立療養所南福岡病院荷入院中の気管支喘息児14名(男子8名,女子6名)とした。被検者は、自転車エルゴメ-タ-による多段階漸増負荷試験(初期負荷20watt,4分間毎に4wattずつ漸増)を行い、exhaustionに至らせた。各負荷の3ー4分目に耳朶より毛細管を用いて採血を行い、乳酸を測定した。仕事率と血中乳酸値との関係により各個人の乳酸閾値(LT)を決定し、これを基準として100%,150%及び175%LT強度について6分間の固定負荷試験を行った(EIBテスト)。EIBテストは、日を変えてランダムに行い、運動前、運動終了直後、5分後、15分後にオ-トスパイロメ-タ-を用いて肺換気能の測定を行った。トレ-ニングは、自転車エルゴメ-タ-を用いて125%LT強度で週6回、1カ月間行った。トレ-ニングの前半の2週間は、10分間の休憩をはさんで10分間のトレ-ニングを2回行い、後半の2週間は同様に15分間のトレ-ニングを2回行った。その結果、1カ月のトレ-ニングによりLTに相当する仕事率は平均8.3(watt)の有意な増加を示し、有酸素能の向上が認められた。トレ-ニング後、トレ-ニング前と同一負荷に対する肺換気能(FEVl)は、100%,150%および175%いずれの強度においても改善が認められた。同一負荷のEIBテスト中の心拍数および血中乳酸値は、トレ-ニング後、100%および150%強度において有意に低下した。以上のことから、持久的トレ-ニングは、有酸素能を向上をもたらすとともに運動誘発性気管支収縮の軽減に効果的であることが示唆された。
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