1.平成2年度は、明治以降の神統流の伝承過程について調査を実施した。調査内容としては、黒田清光第十六代神統流宗家による神統流の復興・伝承過程について郷土新聞記事を中心として調査をおこなった。その結果、黒田清光の水泳歴(修得・指導歴)・組織的水泳指導との関わり・その組織を通じての神統流の復興・戦後の神統流の活動・戦後における神統流の伝承過程などかなり具体的に明らかとなってきた。 2.平成3年度は、明治以前の神統流創始・伝承過程について調査を実施した。調査内容は、黒田家と神統流・薩摩藩と神統流・薩摩藩における水泳について、黒田家保存の資料・薩摩藩関係図書及び資料、それに鹿児島県立図書郷土資料コーナーの人名索引を利用しての調査などを実施した。その結果、島津家文書から黒田家の家系の一部が見られたこと・神統流宗家の一部僅かな人物像が分かったこと・薩摩藩の水泳奨励や藩士の水泳について明らかとなったことなどがあったが、実質的な調査研究の進展はほとんど見られなかった。 3.平成4年度は、1.2.の未調査部分や再調査部分を中心として調査を実施した。その結果、郷土新聞において昭和8年に日本游泳連盟に加盟申請し明治神宮奉納水泳で演技を公開したこと・石塚雄熊第十五代宗家の戸籍が閲覧でき死亡年月日等が判明したこと・戦後の神統流免状が入手(複写)できたこと・黒田家保存の黒田清光作成の黒田家血族・氏族系図及び写筆神統流兵法系譜が入手(複写)できたことなどいくらかの進展があった。以上であるが、未だ未整理・不解明点が多々あるなど、課題を残している。 尚、3年間各年1回神統流泳法のVTR収録を不十分ながら実施し、平成4年度には泳法について文献からの分析を少し試みた。最後に、この調査研究が刺激となり、現在、神統流復興への具体的な活動が始まっている。
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