研究概要 |
T4ファ-ジの収縮性尾鞘蛋白質(gp18)の構造機能相関を調べるために、同蛋白質を指令する遺伝子に変異を持つ31株のミュ-タントの変異部位と置換アミノ酸の同定を行った。ミュ-タントはam(アンバ-)18株、ts(高温で増殖できない)3好、cs(低温で増殖できない)3株、hs(熱で失活しやすい)4株、CBW(高濃度のポリエチレングリコ-ル存在下で感染可能)3株の5種類である。変異部位の同定はミュ-タントファ-ジのDNAを非対称PCR(polymerase cha in reaction)法によって増幅し、直接ジデオキシ法によって塩基配列を決定して野生株DNAの配列と比較することによって行ない、これまでに31株すべての変異部位と置換アミノ酸残基の同定を終了した。変異は全てG・C→A・Tのトランジションであった。予期した通り、am変異はTGG(Trp)→TAGまたはTAG(Gln)→TAGで、アミノ酸残基のN末端から数えて34,39,42,72,277,485,487,497,589,592番目の位置にマップされた。このうち、72番と592番にはそれぞれ2株、497番には7株のミュ-タントがマップされた。ミスセンスミュ-タントは2株を除いてN末端側およびC末端側の、PS17ファ-ジ尾鞘蛋白質と相同性の認められる領域にマップされた。ここで例えば、tsp219Lは219番のプロリンがロイシンに置き替わったために高温感受性になったものを表すことにすると、同定されたミスセンスミュ-タントは以下の通りであった:tsP219L,tsG257D,csR584II,csG593E,hsP5S,hsR565C/S567L,hsG598S,CBWG106S,hsS175F,hsA178V。ts2株はいずれもタ-ン構造と予想されるところにマップされ、いわゆるfoldingミュ-タントであると考えられる。csおよびhsは予期した通り、一つの例外を除いて、これまでの研究からサブユニット間相互作用に関わる領域であると考えられるC末端側の領域にマップされることが分かった。
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