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1990 年度 実績報告書

細胞刺激にともなうリポコルチンの分子修飾反応の解析

研究課題

研究課題/領域番号 02680131
研究機関京都大学

研究代表者

神奈木 玲児  京都大学, 医学部, 講師 (80161389)

キーワードリポコルチン / トランスグルタミナ-ゼ / EGF(上皮細胞成長因子) / カルシウムイオン / カルパイン / 培養癌細胞
研究概要

リポコルチンはステロイドによって誘導される抗炎症性蛋白質として記載された、カルシウム依存性に細胞膜あるいはリン脂質膜に結合する一連の蛋白質の総称である。我々は、リポコルチンのカルシウム感受性が、そのN末端部分を修飾(架橋および限定分解)することによって著しく高められることを見出した。特に架橋反応の効果が著しい。今年度の研究によって、適切な条件下でリポコルチンIにトランスグルタミナ-ゼを反応させると、架橋反応の結果、リポコルチンIの2量体,4量体,6量体‥‥にあたる分子量をもつ産物が生ずることが明らかとなった。形成された架橋リポコルチンIと酸性リン脂質との結合はたいへん強固であり、50%結合に必要なCa^<2+>濃度は3μMと算定された。すなわち、intactリポコルチンI,リン酸化リポコルチンI,限定分解リポコルチンIのいずれよりも低濃度のCa^<2+>により、十分に酸性リン脂質に結合する活性を有する。また、リポコルチンIを多量に含むことが判明しているヒト扁平上皮癌細胞株A431細胞をEGFで刺激すると、架橋反応によって生じると考えられる74kDaのリポコルチンI2量体と、加水分解反応の結果と考えられる34kDaのリポコルチンIが、EGF刺激の強さに比例して出現するのが観察される。すなわち、リポコルチンIの架橋や加水分解反応は、in vitroで精製リポコルチンIに精製酵素を加えた実験のみならず、生理的条件下の細胞内でもin situに観察されることが明らかとなった。さらに、in vitroで精製リポコルチンIをトランスグルタミナ-ゼによって架橋する際に、酸性リン脂質を加えると架橋反応が著しく促進することを見出した。刺激をうけた細胞においては、リポコルチンIが細胞膜に結合し、その後細胞内トランスグルタミナ-ゼによって架橋反応をうけるものと考えられた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Ando,Y.,Imamura,S.,Owada.,M.K.,and Kannagi,R.: "Calciumーinduced intracellular crossーlinking of lipocortion I by tissue transglutaminase in A431 cells:Augmentation by membrane phospholipids." J.Biol.Chem.

  • [文献書誌] 安藤 佳洋,上田 路子,神奈木 玲児.: "「リポコルチンによる脂質代謝の制御」" 生体防御. 8.

  • [文献書誌] Ando,Y.,Imamura,S.,and Kannagi,R.: "Human epidermis contains coagulation factor XIII." Arch.Dermatol.Res.282. 656-667 (1990)

  • [文献書誌] 安藤 佳洋,今村 貞夫,神奈木 玲児,大和田 幸嗣: "「カルシウム刺激にともなう細胞内リポコルチンIのトランスグルタミナ-ゼによる架橋反応」" 脂質生化学研究. 32. 245-248 (1990)

  • [文献書誌] 神奈木 玲児.: "「ことばのペ-ジ:カルパスタチン(calpastatin)」" 生化学. 62. 1061 (1990)

  • [文献書誌] Murachi,T.,Adachi,Y.,Hatanaka,M.,Ishihara,G.,Takano,E.,Yamagata,Y.,Kannagi,R.: "In"Isozymes:Structure,Function,and Use in Biology and Medicine",Gene expression for calpain for calpain isozymes in human hematopoietic system" WileyーLiss,Inc., 18(477-494) (1990)

  • [文献書誌] 神奈木 玲児.日本生化学会編: ""新生化学実験講座,第4巻 脂質,III.糖脂質"「五糖以上の中性糖脂質の調製法」" 東京化学同人, 6(245-250) (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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