研究概要 |
コングルチニン(Kg)は免疫複合にに結合した補体iC3bと結合する(コングルチネ-ション)、Nーアセチルグルコサミン(GlcNAc)に特異的なC型動物レクチンである。Kgを単離する際、予め血清の非働化を必要とする。昨年度の研究において、血清を非働化しない場合には、Kg分子のサブユニットが低分子化することを見い出した。この低分子Kgの性状について調べ、補体の活性化に伴うコングルチニンの分子的変化と活性の関係について明らかにした。 1.非働化ウシ血清をSepharose4Bーマンナンカラムにかけることにより、溶出液中に分子量約1,000k、サブユニット45kDaの精製Kgが単離される。一方、非働化しない血清を同様に処理した場合、Kgはほとんど単離されず、マンナン結合活性は再アフィニティカラムの洗液中に回収された。 2.洗液中の結合タンパク質(Kg^*)は溶液中ではKgと同様のマンナン結合活性を有し、結合特異性もGlcNAcであるが、EAiC3bに対するコングルチネ-ション活性をもたず、EAiC3bに結合もしなかった。 3.Kg^*では分子量約600k、サブユニットサイズ38kDaに減少していた。また、非還元条件でのSDSーPAGEではKgは主として145KDa、3量体を示すが、Kg^*は還元条件下同様の単量体のバンドのみを示すことより、KgのN末端部分のCysのジスルフィド結合が3量体形成に関与していることがわかった。KgおよびKg^*のN末端近傍のアミノ酸配列分析の結果、Kg^*はKgのN末端より54番目のArgのC末端側で分解されていることがわかった。 ^<125>Iー標識Kgを非働化しない血清の1回目のマンナンカラムの溶出液と反応させると ^<125>Iー標識Kg^*へ変換し、この変換はAPMSF、ClINHにより阻害された。 4.以上の結果より、Kgは血清中の内在性セリンプロテア-ゼにより、限定加水分解された結果、なんらかの高次構造の変化が起こり、コングルチネ-ション活性を失うことが推定された。
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