アデノウイルス(Aα)E1Aタンパクと細胞性因子との相互作用を調べるために以下に述べる研究を行った。 1.マウスNFーIのcDNAクロ-ニング。 マウスNFーIの大量生産ならびにドメイン解析を行うために、cDNAクロ-ン化を試みた。エ-ルリッヒ腹水癌細胞のmRNA由来のcDNAを用いてλgtloをベクタ-としたライズラリ-を作製した。一方、精製したマウスNFーIの部分アミノ酸配列を決定し、それに対応するオリゴDNAを合成した。そのDNAをプロ-ブとしてライブラリ-をスクリ-ニング中であるが、今までのところクロ-ンは得られていない。引き続きスクリ-ニングを行う予定である。 2.Aα12E1Aタンパクの生産。 E1Aタンパクの大量生産を目的として、大腸菌および酵母を宿主とした発現系の開発を行った。大腸菌を利用した系はうまくゆかなかったが、酵母の系は現在までのところ使えそうである。Ad12E1A遺伝子で形質転換した酵母は、分子量的にE1Aタンパクと思われるペプチドを培地中へ分泌することが分った。現在抗体を用いてE1Aタンパクを同定中である。 3.ESFー1の精製とcDNAクロ-ニング。 Aα12E1A遺伝子のP転写促進因子であるESFー1の構造を解析するため、ESFー1の精製とcDNAクロ-ニングを試みている。しかしながら現在までいずれの実験もうまく進んでいない。引続き検討も加える予定である。
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