研究分担者 |
友利 道子 帝京大学, 医学部, 助手 (70211406)
田中 直子 帝京大学, 医学部, 助手 (40184353)
永井 謙一 帝京大学, 医学部, 助手 (70155901)
有冨 桂子 帝京大学, 医学部, 助手 (50142451)
金子 希代子 帝京大学, 医学部, 講師 (90147075)
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研究概要 |
1.ラット腎の微量硫酸化糖脂質として,iGb_4Cer IV^3ーsulfateおよびGg_3Cer III^3sulfateを単離し,組成分析,ソルボリシス,メチル化, ^1HーNMR,IR分析によりその構造を決出した.ラット腎にはガングリオ系に属するビス硫酸化糖脂質 を含めてこれまで5種の硫糖脂質の存在が知られているが,他の動物も含めてイソグロボ系硫糖脂質の発見は初めてのものである. 2.サケ腎よりV^3α Fuc,IV^3β GalNAc,II^3(α NeuAc)_2ーGg_4Cer,およびそのシアル酸に4ー0ーacetyl基が結合した構造アナログを単離精製し,組成分析,メチル化,^1HーNMR分析等によりそれらの構造を決定した。魚類の腎は浸透圧調節のみならず造血機能をも持つことが知られているので,今後血球膜糖脂質成分とこれらの物質との間の造連性についての検討も必要と思われる. 3.イヌ,サル,ブタおよびウシの尿細管由来培養細胞のGalCer I^3ーsulfateおよびLacCer II^3ーsulfateの発現量が,培養培地浸透圧の増減に正の相関関係を持って変化することを明らかにした.培養培地の浸透圧をNaCl濃度を加減することにより±200mOsm増減させて尿細管細胞を培養すると,浸透圧に依存して硫糖脂質への^<35>Sの取込みおよび硫酸化糖脂質発現量に増減がみられた.この現象はおそらく細胞内陽イオン濃度の変化が硫酸基転移酵素活性を修飾した結果生じたものと推測された. 4.GalCerの糖リングプロトンに5個の結合を介した遠隔結合(^5J_<1.4>〓0.2Hz)が存在することが, ^1HーNMR decouplingおよびspin simulationによって示唆された.リングプロトンの遠隔結合定数は通常分解能(1 Hz)以下のため無視されがちだが,実際はこれらの値がスペクトルの形状に微妙な影響を与えているものと考えられた.
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