研究概要 |
酵母H.anomalaでは,アイチマイシンAなどの呼吸阻害剤やSH化合物の存在下でシアン耐性呼吸(alternative oxidase)が誘導される. この呼吸系は,チトクロムの関与するシアン感受性呼吸のhyーpasasとしてCoQから酸素への直接的な電子伝達を触媒するものと考えられている.この呼吸系の誘導及びこの呼吸に関与する酵素について以下の事実を見出した. 1 シアン耐性呼吸に関与する酵素は細胞質で39kDaタンパク質として合成されたのち(FEBS Lett.,267,114ー116(1990)).ブロセシングをうけて36kDaタンパク質としてミトコンドリアに出現する((J.Biochem.108,166ー168(1990)). 2 この酵素活性に二価鉄が必須である(FEBS Lett.,264,149ー152(1990)). 3 CoQ誘導体イデベノンの還元型はシアン耐性呼吸の電子供与体となり,また酸化型イデベノンによるこの呼吸の阻害作用について検討した(A.B.C.,55.845ー846(1991)).さらに,この呼吸系の特異的な阻害剤の幅広い検索を行い,一連の含窒素塩基,フラボノイド類,ビタミンE誘導体の効果を見いだした(in preparation). 4 この酵母のシアン耐性呼吸に誘導効果を示す化合物はすべてス-パ-オキシドアニオンの産生を増加させることが化学発光分析法によって確認され,誘導におけるス-パ-オキシドアニオンの関与が示唆された(in preparation). 5 Alternative oxidaseの精製を検討しているが,この酵素は塩基性タンパク質として可溶化される.その一次構造の決定のための検討も進めている. 6 アンチマイシンA存在下で特異的に発現するmRNAに対するcDNAをクロ-ン化してその塩基配列を決定し,発現するタンパク質のアミノ酸配列を推定した(in preparation).
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