研究概要 |
酵母Hansenula anomalaでは,アンチマイシンA等の呼吸阻害剤やある種のSH化合物の存在下でシアン非感受性の"Alternative oxidase"の触媒するシアン耐性呼吸が誘導される。 この呼吸系の誘導及び呼吸に関与する酵素について以下の事実を明らかにした。 1ミトコンドリアの呼吸電子伝達系にはいわゆるQサイクルとよばれる機構が機能しているとされる。この電子電子伝達機構でQ_isiteの阻害剤であるアンチマイシンAやフニクロシンはシアン耐性呼吸の誘導効果を示すが,Q_ositeの阻害剤であるミキソチアゾ-ルやスティグマテリンには誘導効果が認められなかった。 2.ミトコンドリアのシアン感受性及びシアン耐性呼吸に対する阻害剤の作用について検討した。その結果,ある種の不飽和脂肪酸のシアン耐性呼吸に対する選択的阻害作用を見い出した。また,各種のイオノフォアはシアン感受性呼吸に対しては脱共役剤として促進作用を,シアン耐性呼吸に対しては阻害作用を示した. 3シアン耐性呼吸の誘導効果を示す化合物は全てス-パ-オキシドアニオン(O^ー_2の産生を増加されるが,フラボンなどのラジカルスカベンジャ-により,O^ー_2の産生,ミトコンドリアでの36kDaタンパク質の出現,及びシアン耐性呼吸の誘導がいずれも強く抑制され,誘導におけるO^ー_2の関与が強く示唆された. 4cDNAの塩基配列の解析によって前駆体タンパク質のアミノ酸配列を推定しているが,前駆体タンパク質のアミノ酸配列の確認とプロセシング部位を決定するため,シアン耐性呼吸が誘導されたミトコンドリアからHPLC及びSDSーPAGEによって36kDaの精製を進めている.
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