研究課題/領域番号 |
02680164
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
福永 理己郎 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第一研究部, 研究員 (40189965)
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研究分担者 |
伊藤 恭彦 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第一研究部, 研究員 (40223193)
長田 重一 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第一研究部, 部長 (70114428)
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キーワード | 顆粒球 / コロニ-刺激因子 / 受容体 / シグナル伝達 / 増殖因子 / 分化 / 染色体マッピング |
研究概要 |
研究代表者らは、平成2年度の本研究によって、マウスおよびヒトの顆粒球コロニ-刺激因子(GーCSF)受容体cDNAをクロ-ン化し、その構造を明らかにした。平成3年度は、まず、GーCSF受容体cDNAをプロ-ブとして、ヒトおよびマウスGーCSF受容体染色体遺伝子を単離し、さらに染色体マッピングを行なった。その結果、本遺伝子は17個のエクソンから構成されており、ヒトでは第1染色体短腕(1p35ー34.3)に、またマウスでは第4染色体に存在することが示された。次いで、クロ-ン化したGーCSF受容体の細胞増殖、分化における機能を調べる目的で、種々の細胞にGーCSF受容体cDNAを導入し、これを構成的に発現する形質転換株を樹立した。ILー3依存性骨髄球細胞株FDCーP1およびproーB細胞株BAFーBO3の形質転換株ではGーCSF依存性の細胞増殖が観察され、導入したGーCSF受容体がILー3受容体と同様に機能することが示された。他方、ILー2依存性T細胞株CTLLー2の形質転換株においてはGーCSF依存的DNA合成が一過的にのみ観察された。また、FDCーP1の形質転換株をGーCSF存在下で培養することにより、Mac1、Mac2分化抗原の誘導やThy1、F4/80抗原の発現抑制が観察され、導入したGーCSF受容体が細胞増殖のみならず細胞分化にも機能することが示唆された。さらに、いろいろな変異GーCSF受容体cDNAをFDCーP1細胞で発現させてGーCSF結合性および応答性について解析した結果、GーCSFの認識には細胞外領域のサイトカイン受容体相似ドメインが必須であること、GーCSF依存性細胞増殖には細胞質ドメインの76アミノ酸残基からなる領域が不可欠であることが明らかになった。また、GーCSF受容体の装胞外領域を成長ホルモン受容体のそれと置換したキメラ受容体cDNAを発現させたFDCーP1細胞では、成長ホルモンに依存した細胞増殖が観察された。この結果から、リガンドの結合による受容体分子の活性化には、両者の受容体に共通した分子機構が関与していることが示唆された。
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