研究概要 |
血漿アポリポ蛋白質E(アポE)は肝臓に存在するアポE受容体や、さらにLDL(低密度リポ蛋白質)のアポBを認識・結合するLDL受容体にも結合し、血管系のコレステロ-ルの代謝に重要な役割を果たしている。アポEは主として肝臓で合成されるが、肝臓によるアポEの合成は栄養条件などの種々の因子により影響を受けず一定である。アポEはまたマクロファ-ジ細胞からも相当量が分泌されるが、このマクロファ-ジにおけるアポEの発現には肝臓とは異なり(1)単球からマクロファ-ジへ分化・成熟することで増大し、(2)コレステロ-ルの負荷により増大、また(3)エンドキシンなどの免疫反応賦活剤により抑制されるなどの調節がかかる。 今回我々は分化刺激によるアポEの発現増大は転写活性の上昇によること,エンドトキシンによるアポE発現の抑制が転写後の調節による事をTHPー1細胞の単離核を用いて明らかにした。マウスアポE遺伝子の発現は培養肝細胞(HepG2)ではー200塩基までの近い領域に依存しているのに対してマクロファ-ジ細胞(THPー1)ではー800からー1300塩基までの比較的離れた領域が寄与していた。またコレステロ-ルに反応する領域はー200塩基までにあり、その因子はヒトのマクロファ-ジにも存在する。一方、ヒトのアポE遺伝子では肝細胞でもマクロファ-ジでも、利用されるエンハンサ-領域はあまり変わらない。唯、ー100塩基の内に肝細胞では利用されるエンハンサ-があるのに、マクロファ-ジでは活性が認められなっかった。
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