研究概要 |
1.新しく樹立に成功した6種のモノクロ-ナル抗体の性格付けを詳細に検討した結果、TDMー2およびTDMー3はシクロブタン型ピリミジンダイマ-を認識し、64Mー2,64Mー3,64Mー4および64Mー5は(6ー4)photoproductを認識していることが明白となった。TDMー2は0.5J/m^2で、64Mー2,64Mー3および64Mー5は5J/m^2といった低線量で誘発される損傷の定量が可能となり、この検出感度は従来の我々の抗体に比べ数倍改良されたと同時に、世界で最高水準のものとなった。本実験の過程で得られる多くのハイブリド-マを保存するために、細胞凍結保存容器を購入・使用した。現在、抗体の認識する損傷の塩基配列特異性を検討すめため、金沢大学薬学部放射薬品化学教室と共同研究で、4種類の塩基配列をもつオリゴヌクレオチド中に生成した損傷をHPLCを用いて定量している。 2.XP revertant,XPーAおよび正常細胞の紫外線線量ー生存率曲線を描いた結果、XP revertant細胞はCleaverらによって示されたように、正常細胞に匹敵する紫外線抵抗性を獲得していることが確認された。 3.予備実験の段階の結果であるが、テネシ-大学のRinaldyから送られてきた、XPーA細胞の紫外線高感受性を回復させる修復遺伝子をトランスフェクトしたXPーA細胞の損傷修復能を新しい抗体で測定した結果、シクロブタン型ピリミジンダイマ-は照射後24時間まで全く修復されないのに対し、(6ー4)photoproductは一部が修復されていることがわかった。この結果は、田中らによってクロ-ニングされたマウスの修復遺伝子をトランスフェクトしたKPーA細胞の結果と、また、XP revertant細胞の結果と、よく似ており興味深い。細胞致死にはシクロブタン型ダイマ-は関係しないのだろうか、更なる研究が必要である。
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