研究概要 |
1.X線管電流の安定化 交流安定化電源を本申請の研究費で購入して,X線管のヒ-タ回路に加わる電圧を安定化させた結果,管電流が今までよりも安定化したので,X線スペクトルのデ-タを正確に測定できるようになった. 2.散乱X線スペクトル測定時のコリメ-タの向き 散乱X線スペクトルを測定するために円錐形の鉛コリメ-タを使う方法を前に考慮した。また,この研究を行なうために,面積の大きい純Ge検出器を昨年度に設置した。本年度は、円錐形コリメ-タの向きを,線源側に向けるのがよいか、検出器側に向けるのがよいかを,理論的および実験的に検討した。その結果、検出器側に向ける方がよいことがわかった。理由は以下のとおりである。 (1)線源側に向けたときには,円錐面でX線が散乱されて検出器に入射するので誤差が大きくなる。検出器側に向けたときには、わずかに透過したX線だけが余分に入るので誤差が少い。 (2)線源側に向けたときには,円錐面から出たL特性線が10ー20keVのピ-クとなって現れるので誤差になる。検出器側に向けたときには、透過して検出器に入るL特性線が無視できる程度である。 3.散乱X線スペクトルと直接線スペクトルとの分離 照射野と被写体検出器間距離を変えて,(1)直接線十散乱線(円錐コリメ-タ使用),(2)直接線だけ(円筒のコリメ-タ使用),(3)散乱線だけ(円錐コリメ-タと鉛ストッパを使用)を測定した結果,(1)と(2)の結果が(3)とよく一致するようになった。これは,1,2で述べたように、スペクトル測定の精度が上ったからである。 4.散乱線含有率を変えて,ファント-ムの写真の画質への影響の研究に着手した。
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