研究概要 |
1. 発生X線・被写体透過後の直接X線スペクトルとその影響 (1)モンテカルロ法でX線管陽極内での電子エネルギーのばらつきを計算して,さらに量子理論の式を用いてスペクトルを計算した。その結果,Birch-Marshallのモデルの結果と比較的よく一致した。 (2)自己整流型のX線発生装置で,X線スペクトルを測定するときに,管電流値を広範囲に変えても,測定スペクトルが変わらないことを確かめた。この結果,多くのパラメータを変えても,他の型の発生装置と比べて,スペクトルを能率よく測定できることがわかった。 (3)X線管電圧脈動率の影響 脈動率を上げると,一般に,線質が軟らかく,線量が少なくなると考えられてきたが,この常識に反して,脈動率60%以上では線質が少しずつ硬くなり,非飽和電流コードでは,線量も増加することがわかった。 (4)この結果,単相全波整流型では,管電流が多いほど,患者の被曝線量が減少することがわかった。 2. 散乱X線スペクトルの測定 ピンホール写真法を使って,X線管焦点の位置を正確に測定する方法を見出したので,正確にビーム軸を合わせることができるようになった。その結果ビームストッパの直径を2mmまで小さくし,外挿法で,直径0mmの点での散乱X線スペクトルを,正確に求めることができるようになった。 3. Contrast-dose diagramの提案と臨床写真への応用 こうして求めた散乱線含有率を変化させて,アルミニウムの周期的方形波パターンの写真を撮影し,写真コントラストと被曝線量との関係を示すためのContrast-dose diagram を新しく提案した。このグラフを頭部のトルコ鞍の臨床写真に適用して有効であることを確かめた。
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