研究概要 |
1.本年度は初年度であるため本研究用の試料の準備を行なった。試料は窒化物であるAINで最近開発された比較的良好な熱伝導度をもつセラミックスである。この多結晶体についての光学的特性について,可視域と近赤外部について測定を行なった。この結果400nm以上の波長で透光性があり,格子欠陥による吸収が生成したとき、その吸収測定が可能であることが確認された。2.この試料の格子欠陥生成前後の機械的性質評価のためにビッカ-ス硬度計の設置を行ない、その硬度を予備的に測定した。3.試料の一部は原子炉照射され,この中に発生する格子欠陥の一つのタイプであるF中心(窒素空孔)の同定が光吸収とESR測定法によりなされた。4.上記の照射法とは別に,格子欠陥を生成させる目的で,真空蒸着装置を用いて,AINの真空中での熱処理を行ない,Nの蒸発を確認した。今後はNの蒸発の温度について測定するため熱電対を試料部に挿入する予定である。また,N蒸発によるN空孔の増加によりN空孔の複合化が進み更にAl金属の折出が考えられるため,これらの過程について詳しく観察するため,偏光顕微鏡による予備的なチェックを行なった。5.本年度についてはAINを中心に格子欠陥の生成実験を中心に測定を行なったが,酸化物試料のTiO_2についても熱処理法で格子欠陥(酸素空孔)を予備的に生成させており今後は数種の試料を用いて,照射法や熱処理法による格子欠陥の生成とこれらに起因する機械的性質等の特性変化について相関関係を詳細に明らかにしていく予定である。
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