研究課題/領域番号 |
02680190
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
斎藤 功 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (90006586)
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研究分担者 |
奥野 隆史 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10092511)
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キーワード | 野菜F_1品種 / 空間的拡散 / 青首ダイコン / トマト品種 / ハニ-バンダム / 種苗会社 / 計量的研究 / 地域生態論的研究 |
研究概要 |
現在、農産物の種子を供給する種苗産業は、ビッグビジネスに成長している。それは農家での自家採取が減少し、種苗会社によるF_1品種の供給が増大したからである。農作物の一代雑種(F_1品種)は、その両親よりも優れた収量、耐旱性・耐病性および食味などの形質を有する。 本研究では農作物のうち、とくに野菜のF_1品種を対象とし、その空間的拡散過程を計量的・地域生態論的に解明することを目的とした。その結果、以下の諸点が明らかになった。 一般に、野菜は連作障害に弱いため、耐萎黄病などのF_1品種の普及率が高い。たとえば、青首ダイコンの耐病総太(タキイ種苗のF_1品種)は、(1)岡山近郊で栽培され、(2)北陸・畿内、(3)四国・九州と西日本で栽培された後、(4)北海道、(5)東北・高冷地を経て、(6)関東平野に拡がった。食味がよく市場性の高い青首ダイコンは、その後各種苗会社によって作出され、全国的に栽培されるようになった。 また、生食用トマトの桃太郎やトウモロコシのハニ-バンダム、ピ-タ-なども食味や市場性から全国的に栽培されるようになったF_1品種である。これら野菜のF_1品種は、栽培の歴史が比較的浅いため、主産地での追跡が可能であるが、時間的・資料的制約のため、かならずしも当初の目標を解明できなかった。 しかしながら、本研究の目的を達成することは、農業地理学者としての研究代表者の積年の念願であり、今後の研究でも上記野菜を手掛かりに種苗会社の種子販売戦略を含め、食味・市場性・生態的要を加味して地域生態論的に解明して行きたい。
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